展示会巡りのおまけ

展示会であちこち移動する合間の楽しみ、郷土玩具収集。
今年も色々連れて帰りました。

長年地域に根づいた信仰や文化が反映され、郷土色豊かなのが面白いところ。
当然そこでしか手に入らないのもマニア心をくすぐります。


まずは東京。浅草寺の【助六】さんにて購入した【赤ふくろう】
赤ふくろう

赤ふくろうは江戸を代表する玩具。当て字で「不苦労」と書いて「苦労知らず」
を意味する縁起モノ。また夜行性のふくろうは目が利くことから「先見の明」
にも通じるのだとか。赤いボディは子供の疱瘡よけ(厄除け)のおまじない
として伝えられてます。※雛人形の赤い毛せんもコレに由来してるんです。


同じく東京。合羽橋にある【曹源寺】の授与品【波乗り河童】
波乗り河童

その昔合羽橋周辺は湿地帯で水はけが悪く、大雨の度に川が氾濫して
住民たちを悩ませていた模様。そこで合羽商の合羽屋喜八郎が、
私財を投じて治水工事を行ったところ、見ていた多くの河童が感銘して
工事を手伝ったというのです。そしてこの河童を見た人は不思議と商売が
うまくいき、河童は商売繁昌や金運向上のご利益があると言われるように
なったそうです。


埼玉帰りに足を伸ばした千葉県佐原市【三浦屋】さんの【佐原張子】
佐原張子

味のあるフォルムと筆遣いから、郷土玩具界のピカソとも謳われる鎌田さん制作。
狙って作れるモノじゃないです。いろんな種類がありますがお目当ては【招き猫】。
フランス書籍の表紙を飾っていたので探したところ完売…で、黒招き猫に変更。


名古屋市の【虻凧/あぶだこ】
虻凧

赤と黒の色使いがなんとも言えません。手作業による色づけなので
ところどころかすれ具合があるのもまた最高!凧揚げしたときの糸の音が
虻が飛び回る音に似ていたので、この凧が作られるようになったそうです。
これはうちの玄関に飾る予定。


そしてこれは大阪の【廣田神社】で手に入れた【アカエイ土鈴】
※大阪ではアカエとよぶらしい。
アカエ土鈴

神のお使いとして、馬やら鳩などの動物はよくありますが、コチラの神社では
アカエが神の使い(珍しい!!)。アカエの尻尾には鋭い刺があって、
刺されるとかなり痛い…。この痛みがなんと「痔」の痛みに通じることから、
祈祷すれば痔が治る…という信心が生まれたそうです。
昔この辺りは漁師町らしく、船底の冷えなどで漁師に多かったといわれる痔疾が、
アカエ信仰と結びついて今日の文化ができたとも伝わるそうです。


もっと行きたいトコもありましたが、時間の都合上楽しみは翌年へ持ち越し。


そんなオモシロカワイイ郷土玩具ではありますが、後継ぎが少なく、
「たぶん、私の代で終わっちゃうかもね~」なんて言葉もちらほら。

歴史的背景もあり、デザインも秀逸、そして手仕事のぬくもりが伝わる
逸品が多いだけに、なくなってしまうにはあまりにも惜しすぎる…。

私にはこういう場で伝えるコトくらいしかできませんが、気になったら
ぜひ旅行先の神社や仏閣、おみやげ屋さんをのぞいてみて下さい。
旅の楽しみに奥行きが生まれるとともに、リアル地域文化の一端を支える
コトが経験できますので。


実は知らないだけで、コレクターには有名な郷土玩具がわりと近所にあった!
なんてコトもよくある話。地域への理解を深めるきっかけにもなりますよ。

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