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やさしさから生まれた津軽の伝統 "こぎん刺し"


江戸時代の頃より青森県津軽に伝わる刺し子技法の一つ、こぎん刺し。


当時の農民たちは木綿の着用を禁じられ、代わりに麻の着物を着用していましたが、麻は目が荒く風を通しやすいため、雪国の厳しい冬の寒さは到底防げるものではありませんでした。そこで女性たちは家族の着用する麻布に防寒と補強のため、一針一針木綿の糸で目を埋めるとともにその柄の美しさを競い合いました。これが津軽こぎん刺しのはじまりと言われています。


明治以降、庶民の生活向上の裏でこぎん刺しは衰退の一途をたどりますが、そこで再興への道筋を示し支援したのが、民藝運動の創始者のひとりである柳宗悦です。その美しさに打たれた柳は昭和7年(1932年)2月発行の「工藝」14号のなかにこう記しています。


名もない津軽の女達よ、よく是程のものを遺してくれた。麻と木綿とは絹の使用を禁じられた土民の布であった。だがその虐げられた禁制の中で是程美しいものを生んでくれた。それを幸な不幸と云うか、または不幸な幸呼ぼうか人々は生活に即して、ものを美しくしたのである。之こそは工芸の歩む道ではないか。私たちはその美しさにひかれてゐる。数々の教えをそこから学んでゐる。


そして昭和37年、津軽こぎんの伝承と普及、そして販売を目的として弘前こぎん研究所が発足。現在は弘前市内の刺し子さんたちの手により、現代の生活に即した美しい品々を国内のみならず海外にまで送り出しています。


弘前こぎんイメージ

厳しい自然環境のなか、女性のやさしさと美意識から生まれた唯一無二の手工芸"こぎん刺し"。使い込むほどに愛着がわいてくる逸品を、ぜひ日々の生活にご活用下さい。


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弘前こぎん研究所の入居する建物は、ル・コルビュジエの下で学び、戦後日本のモダニズム建築の礎を築いた建築家 前川國男の作品。2003年に国の登録有形文化財に登録されています。

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こぎん刺しのデザインはひし形の"モドコ"とよばれる図案がもとになっていて、それらを単独、あるいはつなげて独創性の高い模様としています。

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地場産業として地域に根づいた弘前の手工芸品は、街の至る所で見ることができます。写真はスターバックスコーヒー弘前公園前店の一角。ソファには贅沢にこぎん刺しが施されています。



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弘前こぎん研究所

地場産業の研究所として設立された木村産業研究所が、昭和37年に津軽こぎんの伝承と普及、そして販売を目的に改名。現在は弘前市内の刺し子さんたちの手により、現代の生活に即した美しい品々を国内のみならず海外にまで送り出しています。